大人スケボーブームをドライブする心理
コロナでスケボーがブームになっている。
東京五輪に競技として選定されたとか、色々な伏線があった。
コロナで学校が休校になったことも原因だ。
この間の経緯については、この「NumberWeb」が掲載している業界ニュース的な記事が上手に説明しているので、参照して欲しい。
僕は、この間大人たちの間に広がっているスケボーブームと、スケボーしたい大人たちの心理について感想を記したい。
代官山のスケボー専門店の店員さんによると、今、スケボーはすごく人気で、子供だけでなく、これまではスケボーショップを訪れることがなかった、中年の大人までもが、はたくさん押しかけているという。
スケボーは10年ほど前にも日本でブームになっている。当時は、アクロバティックなものがもてはやされた記憶がある。あくまで若者文化という扱いだった。
アメリカやカナダでは、スケボーはもうブームというより、ティーンエイジャーのカルチャーに完全に定着していて、男の子なら、やったことがあって当たり前くらいのものになっているし、今さらブームという言葉を使うのは不適切だろう。
2020年6月、知人の30代の女性から、「最近、スケボーを始めた。一緒にやらない?」と誘われた。その人は、現代美術のアーティストで、子供の頃からスケボーには興味はあったが、これまで手を出したことはなかったという。
コロナで自粛期間中、遠出することが許されない状況で、近所を歩いていると、小学生がスケボーをしている様子が目に入ってきたのだという。
「自粛期間ではなれば見逃していたかもしれない」が、数日後には、スポーツ用品を扱うお店でスケボーを購入していた。
近隣で暮らす友人の男性カナダ人が、本国でスケボーしていた経験があることを知り、今では、その男性にコーチしてもいながら、一緒にスケボーを楽しんでいるのだと言う。
彼女は、脚に青あざを作りながら、毎日、自宅近くで練習するようになった。
ほぼ同時期に、40代の友人男性ーこの人は都内在住のアートディラーーから、やはり、「今度スケボーしませんか?」と誘われた。
彼は若い頃スケボーに乗っていたそいうだ。オーストラリア製のペニーというメーカーのクルーザータイプのスケボーを持ている。でも、長い間部屋のインテリア以上の意味はなかったという。
自粛期間中、それまではあまり興味を抱いたことのない近所の公園を散歩したり、近くにある市場を探索して時間を潰していたという。ある時、東京湾の中央埠頭のあたりに、スケボーにもってこいの、使用されていない広大な舗装された空き地を発見した。
「ここならスケボーができるな」と彼は思った。
数十年ぶりに、スケボーに乗ることが彼の日課になった。彼に誘われて、僕もスケボーに乗ってみた。実は僕も、やはり数十年前に一度だけスケボーに乗ってみたことがあるけど、当時は、スケボーが若者のストリートカルチャーとして流行っている頃で、なんだか自分には合わないと感じて、すぐに辞めた記憶がある。
でもこの時、彼に誘われてちょっとだけ乗ってみたスケボーの感覚は心地よかった。
彼のクルーザータイプのスケボーは、アクロバティックな技を披露するためのものではなく、体重移動させながら、優雅に路面の上を漂うような乗り方を前提に設計されている。
もう、歳だし今更若い人と張り合う必要もない。
それなりに体力も必要だし、真面目に向き合わなければ乗りこなすことはできないが、ちゃんと努力すれば、それなりのレスポンスがある。きちんと練習すれば、自分で何かを操っている感覚も味わうことができる。
新型コロナウイルスのパンデミックという、自分の力ではどうにもならない状況のために、生活の先行きに確証が持てなくなった大人たちが一番欲していた感覚が、これだったのではないか。少なくとも、今の自分はこういう感覚を求めていた。
板の下にローラーをつけてあるだけの単純な構造で、決して目新しいものではないスケートボードが、ほんの刹那だが、それを与えてくれた。



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